痛くてだるい人、のんたかです。
病名を出すと救急車の受け入れを拒否される病気があることをご存知でしょうか。
今回お知らせしたいのは線維筋痛症の場合です。受け入れ拒否をされる場面が少なくないのです。
もちろん医療従事者の方は日々奮闘していらっしゃいますし重傷者優先、人手不足、医療体制など考慮しなくてはならいのは承知していますが今回そのことについては深堀りしません。
そういう実態があるということを多くの方、特に医療従事者に知っていただきたく記事にしました。ひとつの事例ではありますが読み進めていただきたいのです。
はじめに
線維筋痛症とは全身に耐えがたい痛みが24時間続く病気です。原因不明で検査上なんの異常も見当たりません。医師の中には病名を知らないふりをしたり、インチキ扱いしたり、重症精神疾患だと思っている方が少なくないのです。
実際、多くの患者がそんな病気はないだとか、仮病だとか言われて診察拒否を経験しています。
そんな患者が家の中、あるいは外出先で、もだえ苦しみ意識消失するほどの激痛発作に襲われて救急車を呼ぶことになったらどうなるのか。救急現場でも同じような扱いを受けることがあるのです。
しかも患者は常に微熱がある人が多く、コロナ禍(2020年~)では、たらいまわしにあう可能性は高くなっています。
たらいまわしの体験記
少し長くなります。
管轄内の病院は全滅【初めての救急車】
2014年冬の始まり、私は失職し一人暮らしの部屋で自宅療養をしていました。。37.5度の微熱。
突然、全身切り刻まれるような痛みに襲われたのです。息ができない、心臓がはちきれそう、吐き気もするがトイレまで行けない。やむなく119番。なんとか住所だけ言えたところで玄関の鍵だけがんばって開けるように言われ、ほふく前進で玄関まで行き鍵をあけてそのまま玄関先で倒れこんで待っていました。
救急隊員は到着しても、私は痛い!助けて!しか言えない。隊員のうながしで線維筋痛症だと言えたところで救急車まで運ばれました。
当時としては驚きでしたが一人の隊員が病気について知っており、線維筋痛症を診ている病院に問い合わせていました。私も当時の主治医(開業医)から、緊急時はここという助言をうけていた病院でした。結果は受け入れ拒否。
隊員は次々問い合わせていったがなかなか決まらない様子でした。そんな病気診たくないとか、知ったことかそんな患者!とはっき言われたという病院もありました。
病名がネックになってるなあ、、、隊員のため息まじりのつぶやきが聞こえます。
私は痛みと共にけいれんが始まりそのうち意識を失っていきました。
気が付いたら大きい病院の救急外来にいました。管轄外の病院らしく、担当の医師から伝え聞くには管轄内の病院はすべて受け入れ拒否だったらしいのです。119番をしてから実に6時間がたっていました。
検査結果は異常なし。あらゆる病気を想定し血液検査、胸部、腹部CTをしたが異常なしだということでした。入院もうながされましたが経済面を考えて帰宅することにしました。痛み止めの点滴を終え、少しの抗生剤と整腸剤が処方されました。
ひどい扱い【2度目の救急車】
一度目と同じ冬の終わり、同じ痛みに襲われ、再び119番。冷たい雨の日でした。消防署には記録が残っているためすぐに来てくれました。もちろん病名もたらいまわしの記録も残っています。2,3件主要病院に問い合わせて断られたあと「どこでもいい?」と問われてうなずきました。
搬送されるやいなや、○○いれよ(笑)、そんな声が聞こえました。おそらく筋弛緩薬を入れられたのでしょう。痛みによる緊張が取れる段階でけいれんのようなものが出てガタガタと搬送ベットがゆれるほどでした。医師や看護師はそっぽを向いて雑談をしているのです。不安になって呼んでみたが、大丈夫、大丈夫と面倒そうに言い放たれました。
笑いながら入れられた薬で、叫ぶほどの痛みはおさまったものの到底痛みで動ける状態ではありません。そんな状態にもかかわらず処置は済んだからからと外に放り出されたのです。検査もろくにしていないのに。すぐに救急外来の扉はしまり電気も消えたのです。
信じられない!!隊員の、どこでもいい?の意味がわかりました。
痛みと筋弛緩薬のふらつきで歩けず駐車場のベンチで横たわっていると見かねた守衛さんが声をかけてくださり、タクシーの手配をしてくださいました。度々あることなのかもしれません。家の玄関まで運転手に肩をかしていただきなんとか帰宅しました。真冬の深夜2時でした。
その夜、私は布団の中で泣きました。痛みと悔しさで、そして惨めな自分を呪いました。そして思ったのです。
もう救急車は呼びたくない。病名も言いたくない。我慢するのだ、と。
病名はふせたまま【3度目の救急車】
2019年、春。かかりつけ医も変わり、ほとんどベッド上での生活になっていた私は自宅療養に専念するために引っ越していました。2回目の救急車から5年、どんな痛みにおそわれても我慢をし、時には意識消失していました。布団の上ならいいがトイレやお風呂場という事もあったのです。
そんなある日の夜、突然の腹痛、頭痛、背中の痛みでもだえ苦しみ耐えきれずに119番しました。繋がったが声を出せない。どうしようどうしようと声にならない叫びの中意識はとおのき、気が付いたら大きな病院の救急外来でした。
看護師さんによればアパートの隣人のところまではって助けを求めたらしいのです。119番をしてから1時間程度で運ばれたようです。
どこが痛いとも自分がどこの誰かも言えない状態で、特に腹痛がひどく血液検査、腹部CT、婦人科検査をしたが異常なしということでした。
あえて言うならば大腸が普通よりねじれがある事と生理前で婦人科系臓器が腫れているくらいだということでした。
病気にならない分類かもしれないけれど私にとっては大きな収穫でした。点滴終了後、痛み止めの薬をもらって帰りました。
翌日かかりつけ医に事の経過を報告したところ、PMSによる筋緊張だろうということで漢方が処方されました。そして私は腸のねじれを気にして繊維質の多い野菜は食べないようにしました。
対策がとれたことで激痛発作がおこる回数は減りました。
結果的に病名をふせた状態になったのだが、医師との会話のなかから新たな傾向と対策を見つけられたのは前進でした。病名を出していたらどうなっていただろうか。また、たらいまわしにあっていただろうか。病名を聞いてもきちんと診てもらえたかもしれない、それはわかりません。
線維筋痛症患者がたらいまわしにあうとこうなる
こんな事を一生繰り返していれば脳や心臓に負担がかかるのは明らかだし、二次的に他臓器の病気になるのではないかと思えてならないのです。
診断されているのにもかかわらず医療従事者に情報提供をしないなんて彼らに対し大変失礼であり、患者にとっても国にとっても時間と費用のロスになります。だけど気を失うほどの痛みなのに受け入れを拒否されたりひどい扱いを受けたらそういう考えになってしまうのです。
線維筋痛症患者が医療従事者に願う事
線維筋痛症患者を偏見の目でみないで欲しい。
患者の症状に対して真摯になって欲しい。
激痛発作時の特効薬、もしくは既存の薬で自己注射できるような商品を出して欲しい。
いっそのこと、精神科の救急でもいいから受け入れて欲しい。
かかりつけ医が救急対応していたらスムーズだけど皆がそういうわけじゃない事をわかって欲しい。
まとめ
線維筋痛症患者は地域によっては救急車のたらいまわしにあう。
救急隊員は優しいし、受け入れてしっかり対応してくれる病院もある。
線維筋痛症患者は受け入れ拒否を体験することで症状を我慢してしまい他の疾患を発症したり、見落としてしまう可能性がある。※1
病名を出さないことで他の痛みの原因を発見でき、今後の治療に生かせる場合もある。
線維筋痛症患者にとって救急車のたらいまわしや診療拒否にあうことは切実な問題です。専門医でさえ重症化すると他科へまわそうとします。
確かに死ぬような病気ではありません。でも知ってほしいのです。多くの患者が救急案件にもかかわらず、痛みに耐える日を過ごしていることを。偏見がなくなり安心して医者にかかれる日が来るのを切望していることを。
★おわり★
※1 2020年秋、虫垂炎の痛みを我慢しすぎて腹膜炎をおこしました。高熱が続いてやっと区別がつきまして救急搬送からのオペになりました。
コメント
コメント一覧 (5件)
こんにちは。はじめまして。
桜と申します。
某SNSで患者グループを作り、線維筋痛症の患者の窮状を支援者様を通じて国会議員さんに請願しております。
この度は「線維筋痛症が直面する診療拒否」の実態をお伝えするために患者グループ内でアンケートを取り、資料を作成しております。
診療拒否の一例としてノヴォチブコフのこの記事を資料内で紹介させていただきたく、コメントいたしました。よろしくお願いいたします。
こんにちは。コメントありがとうございます。どのSNSでどのようなグループなのか教えていただけますでしょうか。確認のうえで検討させていただきたいと考えています。体調がすぐれませんのので返信が遅れますことご了承ください。
失礼いたしました。
余分な文字が入ってしまいました💦
診療拒否の一例としてこの記事を資料内で紹介させていただきたく
です。
こんにちは。メッセージさせていただきましたが届いていますでしょうか。そちらに詳細書いてあります。
作成した資料は線維筋痛症の専門医さんやペインクリニック医師、議員さんなどにお渡しする予定です。
メッセージ交換が無理なようでしたら、
のんたかさんの記事を参考にさせていただきました、という形でご了承ください。
お返事おそくなり申し訳ありません。メール返信させていただきました。間に合えばよろしいのですが。