おだやかではないタイトルをつけてしまったがおおげさな話ではない。
働き盛りである30代女性がなぜこうなったのか。
独身で一人暮らしではあるが
貧困のせいではない。お金は通帳にあるし通販だって頼める。
この女性はなぜこんなことになり役所に助けを求めることになったのか。
次のような疑問が浮かんでくる。
- それって重症のうつ病じゃないの?
- なぜそんなになるまで対処しなかったの?
- 救急車を呼んだほうが良かったんじゃない?
- 家族は?友達は?結婚は?
- このあとどうなったの?
これは痛くてだるい人のんたか筆者自身の体験談である。
重症のうつ病じゃないの?
結論から言うと筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群という病気である。
治療法はない。
主な症状は倦怠感。
その日本語があてはまるとは到底思えないほどの倦怠感だ。
医者にすすめられて精神科を受診しても追い返される。
独身女性の30代引きこもりといえばうつ病を連想する方は多いが
世の中には人知れず難病と闘っている女性たちがいる。男性も同じだ。
薬を飲みながら働いている人もいるがひとたび重症化すれば著しく生活の質が低下する。
仕事を失い、出かけることもできずトイレやお風呂もままならない。
専門医どころか受け入れてもらえる医療機関は少なくドクターショッピングをよぎなくされるのが現状だ。
経済破綻していく患者は多く、家族がいても理解されず離婚や崩壊に発展することもある。
症状のつらさから解放されたいために自死を選ぶ人もいる深刻な病気だ。
慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
なぜそんなになるまで対処しなかったのか
しなかったのではない。できなかったのだ。
ブレインフォグという症状なのだがやる気がでないのとは違う。直訳すれば脳に霧がかかった状態といえるが今回の事例では具体的にこうだ。
すでに近医内科にかかっているのだが、病院が助けてくれるところだと思いつかない。
スマホをさわってみるも文字が理解できずになにもできない、そんな状態だ。
ただ時間がすぎていってなにもできずただ枕元にある水を飲む。
身体は床ずれができるほど動かせなない。つまり寝返りがうてないのだ。
最後に生存本能が働いたのか役所に電話したというわけだ。
そこからヘルパーさんのお世話になることになり身のまわりのお世話をしてもらうことになった。
おかげさまでトイレやシャワーだけは自分でできるところまで回復した。
救急車を呼んだほうが良かったんじゃないの?
今思えば救急車を呼べば良かったと思う。病院で脱水症状と栄養不足に関しては手助けしてもらえただろうし医療者は異様な状態に驚いて全身くまなく調べてくれたかもしれない。
まったく考えがおよばなかった。
ブレインフォグということもあるが筆者にはトラウマがあった。
まだ働いていたころに同じ症状で入院をしたことがあったが検査には異常がないということで、まともな看護をうけられなかった苦い思い出がある。
医療者側も筆者も慢性疲労症候群なんて病気の存在を知らなかったし若いから大丈夫だと思われたのだろうか。
加えて化学物質過敏症もあるため薬品くさい病院のシーツに包まれていると吐いてしまうのだ。
病院には行きたくないという潜在意識があったのかもしれない。
さらに線維筋痛症という病気を併発しているのだがこちらの症状でたらいまわしにあった経験があり救急車には良い思い出がない。
家族は?友達は?結婚しておけばよかったのに
そんな声が聞こえてくるようだ。
こんなになるまで助けを求める人はいなかったのかと。
しかし病気で無職ともなれば交友関係はうすれる。体調が読めずドタキャンを繰り返すうちに約束をとりつけなくなった。
それでも変わらず声をかけてくれる友人はいたが、30代女性は子育て真っ盛りで頼りにくいのだ。
個人的な話になってしまうが
生まれ育った家庭は崩壊している。
結婚のチャンスはあったが生家の問題や病気の問題でどれも実を結ばなかった。
少しさみしい環境ではあるが自分で動けるうちはなんとも思っていなかった。落ち込んだりはするけれど自分の人生は自分で切り開いてきたという自負がある。
ただ、リスクマネージメントをしてこなかった。
けれど働き盛りの年齢で、私は独身で身寄りがないので病気になったら助けてくださいと言えるところがあるのだろうか。
病気にもなっていないうちに。
孤立は自己責任か
近年、中年層の孤独死が報道されるのを目にする。
親族との助け合いや近所との交流が大切。その人の選択の連続で孤独になったのだと締めくくられる。
確かにそうかもしれない。
荒れ狂った家族から逃げ出したのも自分の意思。病気の時に助けあえないような友人との付き合い方。ご近所とも挨拶をかわす程度。リスクヘッジとして結婚をとらえなかった生き方。
すべて自分が選んできたことだ。
しかしすべてが自己責任だと言われればあまりにも理不尽に思う。
家族をすてたのは自分の身を守るためだ。結婚できればだれでもいいという性格でもないしモテる感じじゃない。
若ければ独身の友人が助けてくれるが30代では大半が家庭をもっている。
ご近所さん?仲良くしていてもあかの他人が助けてくれる人望があるのはひとにぎりだけなのでは?
田舎育ちの筆者のイメージだが、他人様はバックボーンが強い人にだけに優しいという特徴をよく知っている。
助けあえる環境にいる人たちは見えないちいさな幸運が重なっているのではないだろうか。
誰も知らない病気
暗い話が続いた。
言っておくが筆者は家庭をもつことをあきらめてはいない。難治性といわれるこの病気をなおすこともあきらめてはいない。40代をむかえるまでに出産のリミットについても葛藤しまくった。
失っても失っても希望はすてない。
ただ、知ってほしい。
人知れず病と闘っている人がたくさんいることを。彼らをささえる仕事についている人が頑張っていることを。
検査をしても異常がなく医療者にも否定され続け
働けなくなったり寝たきりになってしまう病気がこの世にはたくさんあるということを。
★おわり★
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コメント
コメント一覧 (4件)
本当に気持ちわかります。自分もコロナ後遺症で同じ状態を経験しました。わかります。また来ます。
TFさん、はじめまして。コメントありがとうございます。コロナ後遺症、一刻も早く良くなることを願っています。また遊びにきてください。
私は線維筋痛症との診断はありませんが、全身に鈍痛があり臀部辺りが特にキツくなんとか介護士として仕事に従事している状態です。
希死念慮を抱えたこともありますが、もとは元気な体だったので治るはずと思い、食事等試行錯誤している日々です。
のんたかさんの記事はどれも建設的でわかりやすく私の背中を後押ししてくれるような記事が多く励みになります。
これからも拝読させて頂きます(`・ω・´)ゞ
カズさん、こんにちは。その後いかがですか。
一年半も遅れての返信申し訳ありません。まだ読んでくれる方がいてとてもうれしいです。
ブログは放置状態になり申し訳ないです。
私は相変わらず寝たきり状態ですがたのしんで生きています。カズさんも無理なさらず過ごしてください、